未来を想うステージへ、ようこそ。


 社屋から望む眉山や散歩がてら出かける近くの田宮運動公園そして徳島市中央公園など、ふるさと徳島は桜花の花見名所にも恵まれています。桜の花を見てイメージするのは、私の場合、卒業そして入学する学生たちのスガタです。知識はもちろん、人としての成長のチャンスまで与えてくれた学舎に、強い思い入れがあるからかもしれません。このコーナーでは、未来のエンジニアとなるべく、勉学研究にいそしむ学生のみなさんに向けて、エールをつづります。エンジニアといっても、その解釈は広く、機械、電気、土木そしてシステム、情報など、多くの技術者を指しています。私たち株式会社松浦機械製作所では、もっぱら機械、電気、分野としてシステム開発にも取り組んでおり、その辺りをベースにおいて、読んでください。とくに、松浦機械製作所が手がけるモノづくり、機械づくりと、将来、直結するかもしれない工学部のみなさんには、ひょっとすると参考になる話もあるかもしれません。現役エンジニアである先輩の話に、根気よく付き合っていただければと思います。
 
 大学というところは、講義を受けて単位さえ取れば卒業させてくれます。ただ、自分が「もっと知りたい」と思わなければ、4年なり、2年なりの時間を、それだけのために使ってしまうことにもなりかねません。そこでぼんやりとした夢ではなく、自分は「将来、こうなりたい」「あんな仕事がしたい」「こんなモノを創造したい」といった、わりとリアルなイメージを自分の中に見つけることができれば、きっとより深く学べ、そしてステキな出逢いがあり、みなさんを一気に成長させてくれることでしょう。未来を想うステージへ、ようこそ。近い未来の社会で活躍するエンジニアとなるためのスタートラインに立ったみなさんに、先輩エンジニアから期待を込めて、私の経験を言葉にして贈ります。

好きな分野で探し、学べる。
それは大きな幸運なのです。


 第2話を始めましょう。エンジニア系の学部というと、当社の近くに徳島大学工学部があります。かつて私もここに在籍し多くのことを学びました。同大のHPにも紹介されていますが、工学部には建設工学、機械工学、化学応用工学、生物工学、電気電子工学、知能情報工学、光応用工学の7つの学科が設けられ、それぞれ専門の分野で教育、研究が行われています。このうち私が学び、研究したのは機械工学の分野でした。また現在、当社で取り組み、成果をあげつつあるのが、自動制御等の電気電子工学の分野をベースに加えたシステムだったりします。この話は後で詳しくご紹介しましょう。ちなみに、最近まで徳島県日和佐町を舞台に2009年〜10年にかけて放送されていたNHKの連続テレビ小説『ウェルかめ』では、番組後半でヒロイン浜本波美ちゃん(倉科カナさん)の夫となった山田勝乃新くん(大東俊介さん)も、徳島市内の某大学工学部に在籍しているという設定になっていました。そこでは、ウミガメをモチーフに水陸両用のロボット製作に取り組む姿が描かれ、フィクションと知りつつも、ついテレビの前で、あれこれアイデアを出したくなったりしたものです。
 
 ところで、この工学部に対して、理学部という部門があります。両者の違いは何か?簡単にいえば、工学部は、今ある技術をもとにして、さらに高度な技術へと発展させる研究、あるいはまったく新しい技術の基礎を開発する分野です。いっぽう理学部は、物理や数学の考え方で、自然の仕組みを解明する学問。形而上学です。工学部、理学部いずれにも大きな枠で、徳島大学工学部の場合であれば、さらに7つの学科に細分化され、その中でまた、それぞれの研究者が独自の分野を切りひらいているという、非常に裾野の広い世界なのです。たとえばこれから大学に通うみなさんは、工学部○○学科まで決めている、という状態であり、今後、その先は自分の力で見つけ出さなければならないということです。つまり自由に選ぶことができるということでもあります。それは、自分の好きなことを学び、研究できる大きな幸運。大いに喜び、早く自分の研究テーマを見つけてほしいと思います。

自分の中に到達したい目標ができると、
キャンパスを歩くスピードが変わります。


 未来のエンジニアのみなさん、こんにちは。松浦機械製作所の松浦良彦です。先輩からのエール『未来を想うチカラ』の第3話です。さっそくですが、みなさんは、工学部にどんなイメージを持っていますか? そして、どんな期待を抱いていますか? 機械や電気、システムなどの専門知識を学び、卒業後は各種大小企業の工場で働くためのステップでしょうか。確かに、実社会に出て活躍するための基礎を学ぶという面は大きいと思います。しかしです。ただ、それだけのために、4年間なり2年間という時間を漫然と費やすのはもったいない──と、感じませんか? 大学というところは、基礎を学べるのはもちろん、自分の好きなこと(専門分野)を徹底的に、追求し、研究できる開かれた場所なのですから。
 
 私は、会社での立場上、海外のキャンパスや多くの学生たちに接する機会も少なくありません。そこで感じるのは、彼らの歩くスピードの速さです。そのことを聞いてみると、目標すなわち「やりたいことがあるから」と答え、足早に立ち去っていきます。つまり研究室に向かって歩いている時間すらもったいないと考えているのです。そんな考え方ができるのは、将来の目標がわりとハッキリ見えているからかもしれませんし、何より、自分の好きなことが、目標になっているのだろうし、また、達成する道のりも面白がっているのでしょう。みなさんも、楽しい場所へ行くのに、漫然と歩いてはいなかったと思います。「やりたいことを、早く見つけてほしい」これが、第3話で贈る私からのエールです。キャンパスの中を、目標に向かって一直線に歩いているそんな、未来のエンジニアたちのスガタに期待します。

自分は将来何がしたいのか。
明確な目標を早く見つけよう!


 大学に入学したばかりのみなさんは、大学生活初めての週末も引っ越しやコンパや受講の用意やサークルのことや、いろいろと考え、準備することで大忙しだと思います。そうしたことも後で振り返れば、懐かしい思い出になります。後回しにせず、何事も『全力』『一生懸命』で、取り組んでください。さて、第4話のテーマは『やりたいことを早く見つけよう!』です。これから大学に通い、日々の暮らしになじんでいくなかで、4年後のこと、将来の自分をイメージすることが、後回しにされるといったことは、なんだかんだで少なくないのです。でも、本当はそこに早く取り組むことが一番大事なことなのです。
 
 「自分は何が好きなのか」「どんなものに興味を持っているのか」「研究したい、実現したいテーマは何か」といったことにきちんと向き合うことで、「4年後の自分はどんな志望を持っているか」「未来のエンジニアとして、どんな分野で活躍できるか」「どんな仕事をしたいのか」などが見えてきます。その結果、「4年なり2年の大学生活で、やらなければならないこと」が、はっきりとします。そしてこれからの1日、1週間、1ヶ月、1年、そして4年間のスケジュールを具体的に組み立てることができるのです。貴重で、大切な大学での時間です。未来のエンジニアのみなさん、まずは、やりたいことを早く見つけてください。これが先輩エンジニアである私からの4つ目のエールです。

自分のテーマを見つけたら、
とにかく『足る』までやろう!


 態度にしろ、物事にしろ、中途半端な状態というのは、周囲も、そして何より自分自身の気持ちの居所が悪いもの。靴の中で、靴下がずれて脱げかけているような心地悪さ、仕事に区切りがつかないまま箸をつける夕食の味気なさ、効果音ばかり大きくて、台詞が聞き取りにくい邦画の歯がゆさ…。未来のエンジニアのみなさん、こんにちは。松浦機械製作所の松浦良彦です。みなさんは、これまでに何かを、とことん学んだり、追求したり、研究したりといった経験がありますか?『足る』まで、やったことがあるか?ということです。足るとは、一般的に不足や欠けた部分がないことをいいます。お腹いっぱいご飯を食べたとか、洋服をたくさん持っているとか。
 
 しかし、私がいう『足る』とは、徳島弁であって、ニュアンスが少々違います。『足る』とは、『飽きるまでやる』(尽きるまで探求する)ことを指します。たとえば、子どものころカブトムシを飼ったことがあると思いますが、最初はただカゴで飼うだけ、そして数を増やしたいと考えるかもしれません。ここまでは、一般的な『足る』、物欲といっていいかもしれません。ここからが、私のいう徳島弁の『足る』。そのカブトムシに深い興味を持つと、エサは何がいいのか、どんな環境で暮らしているのか、雌雄の違い、成長の過程、卵から幼虫、さなぎが育つ土の状態、土づくりなど、知りたいことが無限に出てくるのです。これは精神的な欲求、つまり知識欲です。「これくらいで、まぁええわ。十分じゃ」と感じたら、決して、放り出さないこと。その先にもっと面白い研究テーマが待っています。足りた後に、足るまでやる。自分の好きなこと(テーマ)を見つけたら、とことん研究してほしい──。見えそうで見えなかったものが、きっと見えてくるから。これが、私からの5つ目のエールです。

ちなみに(株)松浦機械製作所の今のテーマは
無線LAN移動中継システムの普及です。


 未来のエンジニアのみなさん、こんにちは。松浦機械製作所の松浦良彦です。前回は、とにかく自分なりのテーマ・目標を見つけてまずは『足る』までやってみよう!というお話でした。今回は、その具体例として、当社が今、取り組んでいる新しい時代のコミュニケーション技術、無線LAN移動中系システムについてご紹介します。このシステムは、その名の通り、無線LANを介して、しかも移動しながらリアルタイムで大容量の映像・音声データを送信し、かつ受信するというもの。しかも、当社が長く研究し、開発した『ピークサーチ自動方調雲台』をベースに、軽量・小型化し、導入のための予算も通信という面から、他の放送システムに比べて大幅にコストダウンすることができました。これまでに『とくしまマラソン』『第2回海部川風流マラソン』『阿波おどり』『徳島県総合防災訓練』ほか、全国のケーブルテレビ各社への協力など、実績を重ねています。来週末に迫った『とくしまマラソン2010』も、もちろん中継参加しますので、ご期待いただきたいと思います。このように、研究から開発、そして実績を重ね、現在、その普及に取り組んでいるところですが、そのきっかけは、機械づくりの技術をベースに、電界強度を探り、自動方調する、賢い雲台を作れないだろうか、というものだったのです。そこから、マラソンなどのイベント中継をはじめ、近年の発生が確実視されている東南海地震など災害への備え、といった具体的なイメージが見えてきました。
 
──モノづくりの技術はある。
──完成すれば、きっとみんなの役に立つはずだ。
──だったら全社を挙げて取り組んでみよう。
 
 こうした経過から、未来を思い描き、そして「今」を積み重ねてきた結果、少しずつですが、実績を蓄えることができたのです。まだまだ、(株)松浦機械製作所は、このテーマに対して『足る』までには至っていません。研究・開発、そして今後は普及に精一杯取り組んでいきます。未来のエンジニアのみなさんも、テーマ・目標さえつかむことができれば、具体的なイメージが生まれ、やるべきことが見えてきます。それこそが『未来を想うチカラ』となり、きっと、みなさんの夢を実現させるパワーとなるに違いありません。 ガンバレッ!

最新の技術を使いこなそう!
そして『より便利』を考えよう。


 未来のエンジニアのみなさん、こんにちは。松浦機械製作所の松浦良彦です。前回は、当社が開発し、普及を目指している無線LAN移動中系システムを例に、『未来を想うチカラ』が、大きなエネルギーを生む、というお話をしました。ところで「当社が開発した」といっている無線LAN移動中系システムですが、そのシステムを開発したのであって、システムを構成する個々の機器、たとえば、電波を送受信するための『モバイル衛星アンテナ』や、『5GHz帯ブロードバンド無線プラットフォーム』、『GPS』、その他『カメラ』『マイク』『自動車』といったモノは、もちろんすでに開発され、最新の技術を搭載し、一般に利用されている機械です。
 
 無線LAN移動中系システムは、最新の技術、機械を組み合わせ、アセンブリすることで、より便利で、斬新なシステムとして誕生したわけなのです。もちろん、技術はどんどん進化していきます。だから休まず、今ある最新技術を理解する、つまり使いこなすこと。より効率的な機械、いっそう便利なシステムの開発につながるアイデアは、最新技術に触れる中から、生まれることも少なくないのです。若いみなさんにとっては当たり前かもしれませんが、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラ、GPSなど、私は、常に最新の機器のそばにいるようにしています。自分のアイデアを広げてくれるモノ、そして『未来を想うチカラ』を手に入れるため、投資と時間を惜しまない──。そういうことも必要だと、私は思うのです。

「好き!」から始まる技術進歩


 ついこの間まで、通話とメールだけだったケータイ(携帯電話)が、ニュースが読め、ゲームや音楽をダウンロードできるようになり、そしてついには、ホームページをストレス無く見て、さらにGPS機能が搭載され地図情報はもちろん、携帯電話の電波が届かない山奥でさえ、インターネットが利用できるまでに進化しています。巨大で、高価で、できることも少なかったパソコンも、どんどんコンパクト化され、廉価になり、高機能化されています。ポケットベルが、画期的だった時代を知っている私ですが、それからのケータイの進化は本当に早かった──と感じます。これほどまでに、進化する理由とは何でしょうか。
 
 考えるまでもありません。そこに需要があったからです。需要とは何かといえば、「好き!」ということです。たとえば、女性の裸を見たいという欲求(男性に向けて話します)が、よりスピードのあるCPUやグラフィックカードを求めさせ、さらに回線もADSL、光へと進化させたのです。裸を例にして、申し訳なかったですが、音楽やゲーム、またケータイで、ブログやホームページを作ってみたいといった欲求が技術進歩に猛烈な勢いを与えたと確信しています。
 
 さてここで、裸ばかり追っていたのでは、みなさんの進化はありません(またまた申し訳ない)。あくまで、それは「好き!」という直情的なエネルギーであって、情報を収集する技術向上のきっかけに過ぎないのです。そこで次にやるべきことは、ウエブから、メディアから、交友関係の中から得られる膨大な情報を、自分がなりたい未来のスガタに照らし、整理整頓すること。「未来を想うチカラ」を発動させるために、欠かすことのできない訓練だと知ってください。ところで、整理整頓といいましたが、整理とはどういう意味でしょう。整頓とはどう違うのでしょうか。次回は、言葉の意味を知ることの大切さ、そして根拠の重要性について、お話しします。

決断するために欠かせないもの、
それが根拠です。


 未来のエンジニアのみなさん、こんにちは。松浦機械製作所の松浦良彦です。前回の終わりで予告したとおり、整理と整頓の違いなどを例に、根拠の大切さについて、お話ししたいと思います。もうすでに整理と整頓、それぞれの意味について調べていることと思います。宿題のようになってしまいましたね。では、エンジニア松浦的解答です。まず整理というのは、不必要なものをより分け、捨てること。依頼を受けて機械を作る際、大きすぎないか、重すぎないか、厚すぎないか、そして必要な機能の有無などを考え、設計図を書き起こします。これが整理です。
 
 情報も同じです。ある目的地に着くために道路情報を集めるとしましょう。そのとき、一刻も早く到着したいといったケースでは、最短距離で、高速道路などの利用料金がかかってもこれを選択することでしょう。いっぽう急がない旅であれば、観光地やグルメ情報なども収集する必要があります。状況にあわせ、最も適切な情報を選り分けること、これが整理なのです。
 
 さて、整頓とはどんな意味でしょう。これは順序よく並べること。決まりに従ってそろえることです。機械の製作工場では、道具類を所定の位置に常に置くことで、仕事がスムーズに進みます。置き方も、使用頻度の高いものから取りやすい場所を考えています。また、たとえば、みなさんの前で私が講演を行うとします。あれも言いたい、これも伝えたい、とたくさんの小ネタが頭に浮かびます。そこで、テーマ(決まり)にそって最低限必要な小ネタを拾い出し(ここは整理です)、より面白く話を組み立てるといったところでしょうか。
 
 整理・整頓の意味も重要ですが、ここで伝えたかったのは、これら普通に使う言葉であっても、あらためて意味を確認することが大切だということです。「その資料を整理しておいてね」と言われて、縦横をそろえて、きれいに並べるだけではダメなのです。整理と聞いたのですから、資料をカテゴリーで分けるとか、不必要な資料が混ざっていないだろうかと、調べることが求められているのです。ここまで意味を知ることの大切さについて、お話ししてきました。さて、次は連絡と報告。どう違うか分かりますか?次回も引き続き、根拠をテーマにエールを贈ります。

連絡することで、決断の根拠を得る。
報告によって、正確な評価をもらう。


 前回は整理と整頓の違いについて、エンジニア松浦的解釈で解答しました。今回は、その第2弾。連絡と報告の違い。そして運とツキの違いです。宿題にしていたわけではありませんが、宿題ととらえて、もう調べてきたというみなさんはどうぞ答えがあっているか、確認してみてください。
 
 まず連絡です。辞書によれば、「つながり」「情報をなどを知らせること」などとあります。いっぽうの報告は、どうでしょうか。これまた辞書によれば、「研究や調査、あるいは任務の結果を知らせる」とあります。どう違うのか。もう分かったかもしれませんが、連絡は、現在進行形であり、今の状況を知らせることで、相手の意見や判断をもらうための行動です。そして報告は、結果を知らせるものです。レポートなどを提出し、自らが取り組んできたことの成果や実績を評価してもらうための材料づくりなのです。連絡そして報告は、研究や開発、機械づくりといった一連の流れの中にあるということなのです。こうした連絡・報告の技術を身につけることは、社会人となるための基本・基礎であると思います。
 
 連絡することで、仲間や上司の意見・判断をもらい、また自分の決断に、より正しい方向を見つけることができます。私の経験から分かるのですが、確信し、決断しなければ、実行するためのチカラが湧いてこないのです。だから、多くは失敗につながります。そして、報告することで、他の人の評価をもらうことが、実力をつけていくために欠かせません。「まぁいいか」「この程度、十分だろう」というのは自己採点であって、正確な評価ではありません。学生の間は教授から、そして社会にでれば上司や顧客から、指摘される内容が正しい評価のです。報告する──つまり、結果を評価してもらうことで、「甘え」を克服できれば、みなさんは大きく成長できるでしょう。これも『未来を想うチカラ』の一つなのです。次回は、運とツキの違いについて、お話します。

自らの中に『ツキ』を育てよう。
訪れた『運』を逃さないために。


 未来のエンジニアのみなさん、こんにちは。松浦機械製作所の松浦良彦です。さて、今回はちょっと難しいテーマ。『運』と『ツキ』の違いです。何が難しいのかといえば、いずれも目にはみえないものの、どちらも結果として現れるものだからです。たとえば、宝くじに当選したとしましょう。同じように買った人たちの中で、一人だけ当たりくじを手にすることができたわけです。そこには、人の力ではどうにもならない、何らかの力が働いたとしか思えない結果があります。では、ここで働いた力とは、『運』か『ツキ』か。みなさんは、どう考えますか?エンジニア松浦的解釈にあてはめると、「ツキがあり、そして運に恵まれた」となります。
 
 まず『運』というのは、言い換えればチャンスです。開運という言葉があります。運は開くことができる。自分の身の上が未来でどうなっているか、幸運にも、不運にも自らの努力で変えていくことが可能なのです。これが『運』。
 
 そして、この『運』を良い方に作っていく技術が『ツキ』であると私は考えています。「取りつく場所」「手がかり」「良いめぐり合わせ」などと解釈されていますが、『運』であるチャンスを呼び込むための準備、日頃の努力こそが『ツキ』なのです。先の宝くじを例にとれば、買うという行動がなければ、決してくじに当たるというチャンスにはめぐり合えないのです。さらに、当たりかどうかを確認する作業も『ツキ』であり、『運』を確実に手にするために欠かせないものなのです。
 
 エンジニアとして常に技術を磨いておく。最新の情報を収集し、これを整理整頓しておく。連絡し決断する力を見につけ、報告することで、自らの実力をしり、問題の解決を行っておく。こうした『ツキ』の作業、日頃の努力によって、斬新なアイデアにいきついたり、みんなの役に立つ機械やシステムを生み出したりといった『運』が訪れ、そのチャンスをしっかりと手にすることができるのです。『未来を想うチカラ』とは、『運』を呼び込むための『ツキ』を作る作業であり、またいつかきっと訪れるチャンスを確実に手にするための準備なのです。未来に『運』を育て、逃がさないために、『ツキ』を自らの中に蓄えてください。

できると本気で信じれば、
金属のスプーンも曲がります。


 未来のエンジニアのみなさん、こんにちは。松浦機械製作所の松浦良彦です。今からほぼ1年5ヶ月前の2008年末に 『確信すればスプーンは曲がる』という話を書いたことがあります。地元で行われた、心をテーマにした講演会に参加し、「強く思うことで、自分を取り巻く状況はいつの間にか思ったようになっていくものである。しかし、その思いの強さは、現代科学では図ることができない」といった内容のものでした。
 
 
 ここで私は、コペルニクス的転回、ひょっとするとパラダイムの転換と表現してもいいほどの貴重な経験したのです。「このスプーンは曲がる。曲げることができるんだ!と強く思えば、きっと曲がります」と講師から、金属のスプーンを手渡されました。最初こそ、曲がるわけないだろうと思っていたのですが、10人ほどいた参加者の中から、「あっ!曲がった」という声があがり、一人、二人とスプーンを曲げる様子を見るにつけ、私も、できるかも、できるに違いないと強く思えてきたのです。
 
 結果はもちろん、曲がりました。くねくねと、くるくると。みなさん一人ひとりの未来にも、当てはまると思いませんか?「自分はダメなヤツだ」と悔やめば、そういう人生が待っているし、「自分はきっと人の役に立つ仕事ができるはずだ」と確信していれば、何かしら業績を残す人になるということです。やって、できないはずはない!とみなさん自身のことを強く信じてあげてください。
 

できると信じて頑張る!みなさんの姿を、
周囲の誰もが応援したくなるのです。


 前回は、「曲がる」と強く信じることができれば、曲がりそうにもない金属のスプーンが、くるくる、くねくねとたやすく曲がる話をしました。今回は、さらに進めて、周りの人々から応援をもらうことで、いっそうチカラが発揮できるという内容です。松浦機械製作所では、次代の通信システム『無線LAN移動中継システム』を研究・開発し、現在は、その普及に取り組んでいます。そして、今週末(4月25日)に迫った『とくしまマラソン2010』の中継を行い、インターネットを介して世界にライブ配信します。
 
 ところで、とくしまマラソンのライブ中継をやってみようと思ったきっかけは、2008年春に開催された第1回大会に私自身が参加し、そして完走したことでした。『第1回大会参加で生まれたアイデア』友人に誘われ、軽い気持ちで参加したものの10kmを超えたあたりで膝が笑いはじめ、15kmでは、いつへたり込んでも不思議ではないほど心身ともに疲れ切っていました。そんなときです。沿道に集まったみなさんから、「がんばれぇ〜!」「まだ、いけるぞ」という声援がはっきりと聞こえたのは…。限界に近づき、それでもやれるところまで行こうと頑張っていた自分は、いわゆる『孤独』でした。日頃から走り込んでいるわけでもなかった私が、ここまで走れたのは、自らを信じるチカラだったと思いますが、その先のエネルギーをくれたのは、沿道からの声援だったのです。
 
 ランナーそして沿道で応援するみなさんとの間に満ちた不思議なエネルギー、感動をどうにか伝えたい──。振り返れば、これが当社が取り組んでいる『無線LAN移動中継システム』がさらに前進する原動力になったのです。未来のエンジニアのみなさん、まずは、自分を信じて、できると強く思って頑張ってください。そんな姿、情熱を、周囲はきっと応援してくれるはずですから。

人と出会い、交流することで、
情熱とアイデアが生まれます。


 未来のエンジニアのみなさんにエールを贈る『未来を想うチカラ』もついに最終話を迎えました。長い話に、お付き合いいただいて感謝します。さて、最終話となる今回のテーマは、ずばり、人と人との関係、人の輪です。大学という場所は、教授をはじめ講師の先生方、先輩、同級生、留学生など、さまざまな人が学び、そして出会い、交流するチャンスに満ちています。自分の知りたいことをどんどん、先生方に質問し、報告(レポート)することで、自分を成長させ、先輩や同級生、留学生などと交流することで、切磋琢磨(せっさたくま)、奮起することができます。未来を想い、チカラを蓄えるために、4年間なり2年間の貴重な時間を、十分に活用してほしいと思います。
 
 また、キャンパスを一歩出れば、実社会との接点がたくさんあります。バイト先での経験ほか、野球や空手といった民間クラブ、そして徳島で忘れてはいけない阿波おどり連など、『未来を想うチカラ』に、きっとつながる出会いがあふれているのです。なかでも、阿波おどりは、ぜひとも経験してほしいと先輩エンジニア松浦良彦は思います。徳島では普通に大学連(阿波おどりサークル)があり、それに参加するのもよいのですが、できれば、有名連をはじめ一般の連でも練習させてもらい、本番で『踊る阿呆』になってみることをおすすめします。そこには、年齢性別を超え、また会社、自営、職種を超えた人と人との輪があります。いろいろな立場、考えがあるなかで、本場で開催される阿波おどり本番に向かう情熱が一本化され、滅多に経験できない、充実感を味わうことができます。
 
 もちろん、見る阿呆となるのもいいですし、私が第3の阿呆と位置づける『仰ぐ阿呆』もいいでしょう。ちなみに第3の阿呆とは見る阿呆を煽り、踊る阿呆を元気づける、そんな役割をする人のことです。桟敷席に陣取り、阿波おどり連が配ってくれるうちわをそっせんして受け取り、後ろの席へどんどん回す。そしてみんなで、うちわをふって応援するきっかけをつくる。私は、毎年そうやって第3の阿呆の役目を果たしています。そして、これがきっかけになり、昨年、一昨年と本場阿波おどりを『無線LAN移動中継システム』をフル活用し、インターネットを介して全国にライブ配信しました。これも第3の阿呆の役目だと思っています。こんなふうに、阿波おどりの中には、あるいは人と人が出会い、人の輪がある場所には、情熱とアイデアが生まれます。大学に通い、そして学ぶ貴重な時間を、大切に使ってほしいと願います。『未来を想うチカラ』をしっかりと身につけ、大きく羽ばたいてください。ガンバレッ!

無いモノは創ればいい。


 私は徳島県徳島市で、金型設計制作、機械設計制作、FA(ファクトリー・オートメーション)システム開発、放送支援システム開発などを手がける株式会社松浦機械製作所のトップ兼エンジニアの松浦良彦(まつうら・よしひこ)です。
 いきなりですが、カタチのあるものなら、私はどんなモノでも造ることができると信じています。
 それは非常に希(まれ)で特殊な技術や工作機械を持っているからではなく、顧客の要求はそれぞれ個性的で大変複雑で、しかも切実であることを知っているからです。
 機械は私たち人間の役に立つために生まれてきます。

いわば私たちの暮らしを支えてくれるかけがえのない友だち、それが機械です。このサイトを通じて「今何が求められているのか」「どんな機械があれば、あの人が楽になり、喜んでくれるだろうか」といった機械づくり、モノづくりへの視点を伝えたいと考えています。
  私の頭の中にさまざまな思考が混沌と渦巻いています。それらを一つひとつ紐解き整理するためにも、私の中にある考えをつづりたいと思います。願わくば、当社の若い社員はもちろん、多くの皆さんに読んでもらいたい。そこで機械に関心を持っていただき、機械の本当の役割は何かを考えるきっかけにつながれば幸いです。
 無いモノは創ればいい──そんな風に考えられるようになれば、きっと機械が身近な友だちに思えてくるはずです。